2025年12月、Googleがモバイル検索において、AI OverviewからAI Modeへのシームレスな移行テストをグローバルで開始した。2025年12月時点で、日本でのテストはまだ確認されていませんが、Webサイト運営やコンテンツ戦略に大きな影響を与えることになるのではと感じています。
AI OverviewからAI Modeへの「流れるような」体験
1.これまでのGoogle検索のAI機能
これまで、Google検索のAI機能は、大きく分けて二つの体験に分かれていました。
一つは、検索結果の最上部に表示される、AIが生成する要約「AI Overview」。これはユーザーへの素早い情報提供として機能しています。
そしてもう一つが、より深い対話や複雑な質問に対応するための「AI Mode」です。
AI ModeはGoogleのより強いAI検索体験とされ、Gemini 3のような先進的なモデルを活用し、文脈を理解しながら多岐にわたる質問に答える機能が実装されています。従来のAI Overviewでは対応しきれない、より掘り下げた情報や比較検討が必要な場合に活用されてきました。
ただ、これまではAI OverviewとAI Modeは独立していて、AI Modeの深い対話能力を利用するには、別途移動する手間がありました。
2.AI OverviewからAI Modeへのシームレスな移行テスト
今回のテストで大きく変わったのは、この二つが「シームレス」に繋がった点です。
モバイル検索結果でAI Overviewが表示された際、「もっと見る(Show more)」をタップすると、その場でAI Overviewの続きが表示されるのではなく、自動的にAI Modeへと遷移するようになりました。これにより、ユーザーは画面下部に表示される「何でも質問する(Ask anything)」バーを使って、すぐに会話形式でのフォローアップ質問を開始できるようになります。
Google検索プロダクトVPのRobby Stein氏が「聞きたいことを、長くても複雑でも、ただそのまま聞けばよい。そうすれば、必要なものが正確に見つかる」と語るように、ユーザーは「どこで」「どうやって」質問すべきかを考える必要がなくなります。これは、自分も含めてより早い回答を求めているユーザーにとっては非常に便利な機能だと思います。
Webディレクターとして感じること
1.ユーザー体験の観点
まず、ユーザー体験の観点から見ると、GoogleのAI検索はますます直感的で自然なものに近づいています。情報検索の過程で「これについてもっと知りたい」「別の視点はないか」といった欲求が生まれた際、その場で思考を中断することなく、会話形式で深掘りできることは、ユーザーエンゲージメントを大きく高めることになるのではと感じています。
2.コンテンツ戦略の観点
コンテンツ戦略の観点です。AI Overviewが依然として検索の「入口」であることは変わりません。つまり、簡潔かつ的確に情報をまとめるAI Overviewに対応するコンテンツ作成の重要性は引き続き高い状況です。しかし、その先のAI Modeでユーザーが深い対話に進むことを考えると、私たちのWebサイトのコンテンツは、表面的な情報提供だけではなく、ユーザーの多様な疑問や複雑なニーズに応えられる「網羅性」と「専門性」をこれまで以上に追求する必要があると感じています。
AI Modeは文脈を記憶し、より洗練された回答を生成します。これは、Webサイトが提供する情報が、AIを通じてどのように組み合わされ、ユーザーに提示されるかを意識する重要性がより高まることを意味します。単一のキーワードではなく、一連の会話の中でユーザーが何を求めているのかを深く理解し、それに応えられる質の高いコンテンツが、AI Mode時代に求められるものです。
3.モバイルファーストの重要性
さらに、モバイルファーストの重要性も再認識させられました。今回のテストがモバイル限定であることからも、GoogleがモバイルデバイスでのAI体験を特に重視していると感じます。Webサイトも、モバイルでの表示速度、操作性、そしてAI OverviewやAI Modeからの流入を意識したコンテンツ構成に、これまで以上に力を入れる必要があると認識しています。
今回のGoogleのテストは、単なる機能追加ではなく、検索のあり方そのものを変革する可能性を秘めています。Webディレクターとして、この変化を好機と捉え、ユーザーにとって真に価値のある情報と体験を提供できるよう、常に最適なWeb戦略を模索し続ける必要があると強く感じています。
