2025年12月5日のWeb担当者Forumで、「低品質1000ページ削除で検索トラフィックが爆上がりした事例」が紹介されました。現在のSEOトレンドを象徴しているので、感じたことをまとめておこうかと思います。
現代SEOにおける「量より質」の明確な表れ
とあるエネルギー比較サイトが、2015年以前の古い情報やサイトのテーマに沿わない、価値の低いコンテンツを1,000ページ以上もサイトから削除した結果、オーガニック検索トラフィックが劇的に増加したという事例です。この事例では、リダイレクトやリライト、ページ統合といった手間をかけず、単純に「削除」しただけという点が驚きです。
長らく「コンテンツは多ければ多いほど良い」という考え方がSEOの常識とされてきた時代がありました。しかし、この事例は、そうした常識が過去の話であり、「コンテンツは量よりも質が重要」という原則がより明確になったことを表しています。実際に、削除後にはオーガニックトラフィックだけでなく、コンバージョン率も向上したと報告されており、これはビジネスの成果に直結するものです。
低品質コンテンツがサイト全体に与える影響
なぜ、低品質なコンテンツを削除することが、サイト全体の評価向上につながるのでしょうか。これにはいくつかの要因が考えられます。
1.クロールバジェットの最適化
Googleなどの検索エンジンは、各サイトにクロールできるリソース(クロールバジェット)を割り当てています。低品質なページが大量に存在すると、重要なページにクロールバジェットが十分に割かれず、結果としてサイト全体のインデックス効率が悪化する可能性があります。低品質ページを削除することで、クロールバジェットが質の高いページに集中し、評価されやすくなった。
2.サイト全体の品質評価の向上
検索エンジンは、個々のページだけでなく、サイト全体の品質も評価しています。低品質なコンテンツが多数含まれるサイトは、全体として「ユーザーにとって価値の低いサイト」と判断され、良いコンテンツも埋もれてしまう可能性があります。
3.ユーザーエクスペリエンスの改善
低品質なページは、ユーザーにとって価値がなく、サイト離脱の原因に繋がります。そのようなページをなくすことで、ユーザーはより質の高いコンテンツにアクセスしやすくなり、サイト滞在時間やエンゲージメントの向上につながった可能性が考えられます。
これらの複合的な要因により、サイト全体の評価が向上し、結果として検索トラフィックとコンバージョンの増加につながったと推測されます。
今後のサイト制作で意識すべきこと
この事例から、今後のコンテンツ戦略を考える上で、以下の点を強く意識する必要があると感じています。
1.徹底的なコンテンツ監査の実施
まずはコンテンツを洗い出し、品質を客観的に評価することが不可欠です。Googleが提唱する「E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)」の観点や、サイトの「コアとなる価値提案」に合致しているかを見極める必要があります。
単にPVが低いから削除、といった安易な判断ではなく、本当にサイトに不要なコンテンツ、ユーザーにとって価値が低いコンテンツを慎重に特定する作業が重要になります。
2.「量」ではなく「質」への投資
新規コンテンツを増やすことだけに注力するのではなく、既存の高品質なコンテンツをさらにアップデートすること、そして価値の低いコンテンツを整理することに多くのリソースを割く必要がでてくると感じています。
3.ユーザーニーズの深掘り
以前のブログでの重複してしまいますが、AIの進化により、ユーザーはより具体的で複雑な疑問に対する回答を求めています。単一キーワードに最適化するだけでなく、「人に話しかけるように」投げかけられるような、ユーザーの深いニーズに応える網羅的かつ質の高いコンテンツを提供することが、これからのSEOでは重要です。
今回の事例は、「コンテンツは量より質」という原則が、単なる想像や理想論ではなく、明確な成果に直結する現代SEOの現実が表出したものです。この変化をチャンスと捉え、ユーザーにとって真に価値ある情報を提供し続けるための戦略を再構築していくことが、重要だと感じています。
