2025年11月18日、Googleが「Gemini 3 Pro」を搭載したAIモードを、120以上の国と地域に拡大したと発表しました。
以前、GoogleのAIモードが日本に実装された際の衝撃と、そこから見えてきた先行導入国の分析データについてお話ししました。今回のグローバル展開は、より早いスピードで、検索体験の未来が加速するのではと感じています。
AIモードの世界規模での普及が意味すること
GoogleのAIモードは、検索結果の最上部にAIが生成した要約や回答を表示する機能で、ユーザーが外部サイトにアクセスすることなく、検索結果ページで情報を完結させることが可能です。この動きが加速することで、Webサイトへのトラフィック、特にオーガニック検索からの流入に大きな影響がでてきます。
1. CTRの低下と質の高いコンテンツの重要性
以前お伝えしたiPullRankの分析では、AIモードからの外部サイトへのクリック率(CTR)が約3%未満に留まるというデータが示されています。AIが生成する要約でユーザーが満足してしまう傾向が強まる中で、一般的なキーワードでの集客はますます難しくなってくるのではと思います。
同時に、質の高いコンテンツの価値がより一層高まってきます。AIが要約しきれない専門性の高い情報や、オリジナルコンテンツこそが、ユーザーを外部サイトへ誘導する強い要素になってきます。
2. E-E-A-Tの絶対的な基準化
先行導入国での分析では、クリックを得ているのは「権威性(Authority)」の高いドメインに集中しているとの結果がでています。Googleが掲げる「E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)」の重要性は、Gemini 3 Proを搭載したAIモードの普及によって、もはやWebサイト運営における「絶対的な基準」として確立されるのではと思います。
3. 長文化する検索クエリとユーザーニーズの深掘り
AIモードでは、ユーザーが「人に話しかけるように」質問し、複雑なニーズに対する回答を求める傾向もあります。これは、ユーザーがより具体的な課題解決や、特定の情報を求めていることを示しています。
私たちは、単一キーワードに最適化するSEO戦略から、ユーザーの具体的な疑問や潜在的なニーズを深く理解し、それに応える網羅的かつ質の高いコンテンツを提供することへと、思考をシフトしていくことも必要だと感じています。
4. 高いコンバージョン率に注目する「質的チャネル」としての可能性
トラフィック量は少ないものの、AIモードからの流入ユーザーは高いコンバージョン率(CVR)を示すというデータは、見方によっては、大きな希望になるのではと思います。AIモードを利用するユーザーが、すでに特定の課題意識や購買意欲を持っており、解決策を探している可能性が高い。
つまり、AIモードは「量」を追うチャネルではなく、高い見込み度を持つ「質の高いユーザー」を獲得できる、新たな情報提供チャネルとしての可能性と捉えることができるためです。
今後のコンテンツ戦略に向けて
GoogleのAIモードがGemini 3 Proの搭載により世界規模で拡大された今、Webディレクターとして、私たちは以下の点を強く意識し、コンテンツ戦略を再構築していく必要があると感じています。
・E-E-A-Tに基づいた「信頼される専門性」の確立
・ユーザーの深いニーズに応える「高品質なオリジナルコンテンツ」の追求
・長文化するクエリに対応する「問いかけ型コンテンツ」の最適化
・「質の高いユーザー」に選ばれるための「明確な価値提案」
AIの進化は止まることなく、検索体験は今後も大きく変化しています。この変化は脅威ではありますが、新たなチャンスとして捉え、ユーザーにとって真に価値ある情報を提供し続けることが、重要であると認識しています。
